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目標に合わせたアナリティクスのデータ活用法

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こんにちは、ディレクターの池原です。

神戸はやっと涼しくなり、神戸国際会館前の落葉樹からも秋の気配を感じます。
昨年は短かった秋ですが、今年は長く続いてほしいものです。

さてさて、最近は専らアクセス解析についての記事ばかり書いていますが、今回は、少し実践的な内容の執筆にチャレンジしてみたいと思います。

多くのアクセス解析ツールがありますが、弊社ではGoogle Analyticsを採用しております。
そのGoogle Analyticsから得られるデータを、どのようにビジネスの成果に繋げていけば良いのか、私が勉強したことをまとめてみました。

どうぞ、最後までお付き合いいただければ幸いです。

Table of contents

  1. Google Analyticsとは?
  2. 活用の手順
    1. ウェブサイトの役割を再確認し、最終目標を設定する
    2. 達成度合いの確認に必要な指標をリストアップ
    3. 現状から改善案をたてる
    4. 検証し、改善を繰り返す
  3. 計算式のまとめ
  4. まとめ

Google Analyticsとは?

Google Analytics(グーグルアナリティクス)は、Googleが無料で提供するウェブサイトのアクセス解析サービスです。
元はGoogleが2005年に買収した、米国のWeb解析ソリューションプロバイダー・Urchin社の技術を利用していますが、ここ数年で機能も非常に充実してきました。
そのため、今では世界シェアNo1の解析ツールです。

Google Analyticsではアクセス数や、サイトの滞在時間、検索キーワードだけでなく、アクセスしてきた国・地域などなど、あらゆる情報を収集し、データに基づいたユーザーの動向を把握することが出来ます。

さて、このGoogle Analyticsで収集したデータ、
皆様はどのように活用されていますか?

毎月「アクセス数が増えた・減った」だけで終わってしまっている方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、自社のビジネスにおいての、Google Analytics活用法をまとめてみたいと思います。

すでにGoogle Analyticsを導入しているサイトのリニューアルを検討されている方も、是非ご一読しリニューアル計画にお役立てください。

ご注意
この記事は、Google Analyticsの各指標について理解いただいている事を前提にした内容となっております。
各指標については以前に記事にしておりますので、良ければ参考になさってください。

Googleアナリティクス初心者が、これだけは理解しておきたい指標のまとめ

活用の手順

簡単に手順を説明すると以下のようになります。

  1. ウェブサイトの役割を再確認し、最終目標を設定する
  2. 達成度合いの確認に必要な指標をリストアップ
  3. 現状から改善案をたてる
  4. 検証し、改善を繰り返す

これだけ見てもよく分からないと思うので、順番に詳しく見ていきましょう。

1.ウェブサイトの役割を再確認し、最終目標を設定する

一概にウェブサイトと言っても様々ですね。
ウェブサイトの役割によって、設定すべき目標も違ってきます。

自社のサイトにどのような役割を持たせたいのか、まずはそこを再確認してみてください。
そして、「この目標を達成したら必ず成果に繋がる」といった、分かりやすい最終目標を設定しましょう。

今回は大きく4つに分けて見てみましょう。

  • 通販サイト(イーコマース)
    サイトのコンバージョンが売上に直結するため、サイトの売上金額を増やす事が最終目標になります。
  • リードジェネレーションサイト
    リード=見込み客、ジェネレーション=増やす
    その名の通り、見込み客を増やすマーケティング行為の事です。ウェブサイトだけで完結しないビジネスは、サイトをきっかけに、商談や交渉を経て成果を上げていきます。
  • メディアサイト
    ポータルサイトや、ニュースサイトなど、最近は企業がユーザーに需要のある様々なコンテンツを発信するサイトが増えています。このようなサイトは、メディアとしての価値や認知度を向上させることが目標になってきます。
  • サポートサイト
    Appleのサポートサイトなどが例として思い浮かびますね。電話で問い合わせる前に「ココに似た質問と解答がないか調べてみてね」というサイトです。コールセンターの負担を減らし、人件費を削減する事が目標として考えられます。

2.達成度合いの確認に必要な指標(データ)をリストアップ

目標が設定できたら、次に達成するまでの過程で、どの指標(データ)を見れば達成度合いが確認できるのかを考え、リストアップしてみましょう。

種類達成度合いを測るための指標
通販サイト(イーコマース)コンバージョン率
セッション数
お買上げフォームの離脱率
メルマガの開封率など
リードジェネレーションサイトセッション数
資料請求数やサイトを見ての問合せ数
商談率
受注率など
メディアサイトセッション数
新規セッション率
SNSへのシェア数
サイト滞在時間
ページビュー数など
サポートサイト「解決したボタン」のクリック数
サイトの滞在時間が長すぎる事は無いか
コールセンターへの電話の問合せ本数など

このように、サイトの最終目標によって、確認しなければならない指標は変わってきます。

この記事は、Google Analyticsのデータをどのようにビジネスの成果のために活用するのかをテーマに書いていますが、例えばリードジェネレーションサイトは、サイトだけでビジネスが完結するものではないので、Google Analyticsで取得できる指標以外にも、商談した数やコンバージョンから商談に繋がった率なども、併せて確認しなければなりませんね。

3.現状から改善案をたてる

ここからは、リードジェネレーションサイトを例に見ていきたいと思います。

とあるウェブ制作会社で、
下記のような月間データがあったとします。

現状
セッション10,000
コンバージョン20(CVR 0.2%)
商談数10(商談率 50%)
受注数3(受注率 30%)
売上2,400,000円
平均客単価 800,000円

CVR = コンバージョン率

現状の月間売上240万円を、400万円にしたいと考えています。

そのためには、

  • コンバージョン率を上げる
  • セッション数を増やす
  • 受注率、商談率を上げる
  • 客単価を増やす

などなど、様々な案があるかと思います。

客単価を増やすのは難しいケースもありますので、他の3つで見てみます。

改善案① コンバージョン率を上げる

現状目標
セッション10,00010,000
コンバージョン20(CVR 0.2%)34(CVR 0.34%)
商談数10(商談率 50%)17(商談率 50%)
受注数3(受注率 30%)5(受注率 30%)
売上2,400,000円
平均客単価 800,000円
4,000,000円
平均客単価 800,000円

CVR = コンバージョン率

まず、条件として「平均客単価 80万」は変わらないものとします。

売上を400万にするためには、5件の受注が必要です。

受注率が30%なので、必要な商談数は

5(受注数) ÷ 30%(受注率)= 17件(商談数)

となります。

商談率が50%なので、必要なコンバージョンは

17(商談数) ÷ 50%(商談率)= 34件(コンバージョン)

となります。

セッション数は10,000セッションなので、必要なコンバージョン率は

34(コンバージョン数) ÷ 10,000(セッション数)× 100 = 0.34%(コンバージョン率)

となります。

コンバージョン率を上げるには、例えば

  • 問合せフォームへの動線を見直す
  • 掲載している情報の見直し

といった施策が考えられます。

改善案② セッション数を増やす

現状目標
セッション10,00017,000
コンバージョン20(CVR 0.2%)34(CVR 0.2%)
商談数10(商談率 50%)17(商談率 50%)
受注数3(受注率 30%)5(受注率 30%)
売上2,400,000円
平均客単価 800,000円
4,000,000円
平均客単価 800,000円

CVR = コンバージョン率

今回は、コンバージョン率の「現状 0.2%」は変わりません。

必要なセッション数は、以下で求めます。

セッション数 = コンバージョン数 ÷ コンバージョン率

コンバージョン数は34が目標なので

34(コンバージョン数) ÷ 0.002(コンバージョン率%) = 17,000セッション

という事になりますね!

セッション数を増やすということは、サイトへの流入数を増やすための施策を考えなければなりません。
つまり自然流入を獲得するためには、SEOを意識した改善を行っていく必要があります。
SEO対策とは? – SEOの基礎知識と対策方法についてのまとめ

また、より迅速かつ確実に成果を上げたい場合は「リスティング広告(後述)を出稿する」という施策もあります。

現状目標
自然流入数10,00010,000
広告からの流入7,000
コンバージョン20(CVR 0.2%)34(CVR 0.2%)
商談数10(商談率 50%)17(商談率 50%)
受注数3(受注率 30%)5(受注率 30%)
売上2,400,000円
平均客単価 800,000円
4,000,000円
平均客単価 800,000円

CPC(後述):100円とした場合、
7,000セッションを回収するには、必要な広告コストは70万円となります。

しかし、これでは1件の受注額に相当する広告コストが必要になってしまい、利益を圧迫しかねません。

最終目標は売上を上げることにあるので、ウェブ以外での施策も検討して組み合わせてみましょう。

改善案③ セッション数を増やす+受注率を増やす

受注率や商談率などを改善していくには、問合せがあった際のアポイントメントの見直しや、営業の効率化・プレゼン内容の見直しなどを検討しなければなりません。

しかし、ウェブサイトの改善以外にも目を向け、改善が出来れば、それにより広告コストを抑えることが出来るかもしれません。

現状目標
自然流入数10,00010,000
広告からの流入3,000
コンバージョン20(CVR 0.2%)36(CVR 0.2%)
商談数10(商談率 50%)13(商談率 50%)
受注数3(受注率 30%)5 (受注率 38%)
売上2,400,000円
平均客単価 800,000円
4,000,000円
平均客単価 800,000円

例えば、商談時のプレゼン内容を見直し、受注率を 30% → 38% に改善したとします。

すると、商談数とコンバージョンの目標数も減り、追加で必要なセッション数は3,000セッションとなりました。
CPC:100円とした場合、広告コストは30万円となります。

セッション数だけを増やす改善案②よりも、広告コストがかなり削減されました。

このように、リードジェネレーションサイトなどの「サイトだけでビジネスが完結しない場合」は、ウェブサイトで見込み客(リード)を獲得した後の工程を見直す施策も検討し、併せて改善を実行していくことで、目標を達成していきます。

補足①:リスティング広告とは?

リスティング広告とは、GoogleやYahoo!などの検索エンジンの結果ページで、ユーザーが検索したキーワードに関連した広告を表示する、インターネット広告の一種です。
「検索連動型広告」「検索キーワード連動型広告」「P4P(Pay for Performance)」とも呼ばれます。

広告を出稿する際に、「キーワード」を登録し、
それに一致する・又は関連するキーワードが検索された場合に、結果ページの目立つ位置に広告内容が表示されます。

有名なYahoo!のリスティング広告の場合、広告がクリックされた場合に、広告主に対して料金が発生するクリック報酬型広告です。広告の表示のみでは、料金は発生しません。

手軽に出稿できる他、効果をデータで測定できるため、効率的に予算を設定できます。

目標の売上金額を決めたら、各指標を踏まえながら計画的に必要な広告費用を見積もりましょう。

補足②:CPCとは?

CPC(Cost Per Click)とは、クリック1回あたりの料金のことです。「クリック単価」とも呼びます。
以下の計算式で求める事ができます。

CPC = 広告費用の総額 ÷ 広告クリック数

4.検証し、改善を繰り返す

改善案を立てたら、目標を達成するための施策を打ち出し、実行していきます。

そして結果を見て、施策が適切であったかを検証してください。
思うような結果が出ず目標が未達な場合は、改めて計画をたて、改善を繰り返していきます。

施策はひとつではありません。
Web担当者だけでなく、社内全体で一丸となって何度も改善を重ねていくことで、より良い成果に繋がるのではないかと思います。

計算式のまとめ

各指標の計算式をまとめてみました。

指標計算式
平均客単価
※通販サイトの場合
売上金額 ÷ コンバージョン数
売上金額※通販サイトの場合平均客単価 × コンバージョン数
平均客単価 × セッション数 × コンバージョン率
コンバージョン率(%)コンバージョン数 ÷ セッション数 × 100
商談率(%)商談数 ÷ コンバージョン数
商談数コンバージョン数 × 商談率
受注率(%)商談数 ÷ 商談数
受注数商談数 × 受注率

まとめ

  • 「この目標を達成したら必ず成果に繋がる」といった、分かりやすい最終目標をたてる。
  • 最終目標の達成度合いを測るために必要な指標をリストアップする。
  • サイトの種類によっては、ウェブサイトを改善する施策以外にも営業の改善等も検討する。
  • Web担当者だけでなく、社内全体で一丸となって試行錯誤してくことが重要。
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Author | Shiori Ikehara / 5,914views

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